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「第一幕」は流れが掴めたでしょうか？再三申し上げる通り梅田芸術劇場主催の『CHESS』は海外で現在行われている『CHESS』をかなり簡略化しています。登場人物も歌も内容も少し物足りなさを感じるかもしれませんが、内容を掴んでおけば、海外『CHESS』と梅田芸術劇場『CHESS』の違いがわかることでしょう。

第一幕終了後「休憩」が入ります。15分～20分です。化粧室、特に女性は毎回皆さん走りますので倒れて怪我しないように気を付けましょう。また「セキ」は厳禁です。休憩中に飲み物を飲んでおくか、飴をなめたり、マスクするなどして、周りの人に迷惑をかけないように注意しましょう！ミュージカルを観る上での最低の「マナー」です。毎年、このマナーを守れない人が目立ちます。お子様の泣き声にも注意しましょう！所要時間は「第一幕」「休憩」「第二幕」含めて2時間40分と言ったところです。

 

１．第二幕の設定

第一幕ではソビエトのCHESSチャンピョン、アナトリーが、アメリカのCHESSチャンピョン兼世界チャンピョンのフレディを破り、新チャンピョンになりました。しかし、その後、敵国アメリカのフレディの恋人フローレンスを連れて、アナトリーは自由主義国にイギリス大使館を通して「亡命」します。では、どこの国に亡命したかはここでは定かになっていません。そして一年後の1980年、新たな『ワールド・CHESS・チャンピョンシップ』がタイのバンコクで行われようとしています。

２．登場人物

★アメリカ（西側）陣営

●フレデリック（フレディ）・トランパー：前世界CHESS・チャンピョン、なんと「メディア」に転身！？（中川晃教 -Akinori Nakagawa）

●アナトリー・セルゲイフスキー：現世界CHESS・チャンピョン、西側に亡命し、今回は西側（アメリカ）代表として出場するが……（石井一孝 -Kazutaka Ishii）

●フローレンス・ヴァッシー：フレディと別れ、アナトリーの新しい生活を始めて一年、だが……（安蘭けい -Kei Aran）

●ウォルター・コーシー：アメリカのマーチャンダイザー兼アメリカ・グローバルテレビジョンのプロデューサー（戸井勝海）

 

 

☆ソビエト陣営

〇モロコフ：前アナトリーのセコンドで、今年もソ連側のセコンド兼KGB（過去2回梅田芸術劇場主催『CHESS IN CONCERT』では出て来ませんでした。今回も出演しない可能性が高いです。モロコフを出演させないのは世界中で「梅田芸術劇場だけ」です）。

〇スヴェトラーナ・セルゲイフスキー：アナトリーの貞淑な妻、そして修羅場に！（AKANE LIV）

〇レオノイド・ビガンド：新しいソビエトのCHESS・チャンピョン、通称〝CHESS・マシーン〟（？）

 

▲中立？？

●アービター（審判員）：ワールド・CHESS・チャンピョンシップの審判（田代万里生　-Mario Tashiro）

 

△その他

〇バンコクの人々：『ワールド・CHESS・チャンピョンシップ』が開催されるタイの中心都市バンコクの人達。自分達の街で『大イベント』が開かれることで街を上げて喝采し、興奮している。

〇マスコミ、メディア：この世紀の戦いを取材しに来たと思いきや、『CHESS』とは全く関係ない質問を新チャンピョン、アナトリーにぶつける。あれっ？昨年と同じ光景？？

３．話の流れ

第一幕の概要でもご説明しましたが、最近の『CHESS』は2008年ロンドンで上演された『CHESS IN CONCERT』に基づいています〝最新『CHESS』〟です。曲は1984年発表当時も多数ありましたが、その後何度も曲は入れ替えられ、今では『CHESS』を指揮する監督によって、どんな曲を使用するかは自由裁量で決められようになりました。

 

ゆえにこれから説明する『CHESS第二幕』の話の流れも、第一幕同様あくまで「筆者の推測」です。ゆえに9月27日からの本番で違う場合もあることをあらかじめ了承いただきたいと思います。

1. Golden Bangkok

2. One Night In Bangkok（ワン・ナイト・イン・バンコク）

あれから1年が過ぎた。今年の『ワールド・CHESS・チャンピョンシップ』大会がタイのバンコクで行われようとしていた。現在の世界チャンピョンは西側に亡命したアナトリー。彼の対戦者は挑戦者のロシア人の“CHESS・マシーン”ことレノイド・ビガンド。アナトリーのタイトル防衛戦だ。昨年とは逆の立場だ。しかも今年はアメリカ代表として、ソ連のチャンピョンと戦わなければならない。このソ連の挑戦者ビガンドはやはり、モロコフとその仲間達にコントロール（洗脳）されている。昨年までの世界チャンピョンのフレディは、今はCHESS・プレイヤーからは引退し、この競技会にはTVのコメンテーターとしてやってきた。フレディは、プレイヤーの重圧から解放されてリラックスしているようで、メラノとはまったく対照的なバンコクの怪しげな魅力には無関心だ。Click here　　Click here

 

 

［フレディ］

バンコク／オリエンタルな舞台

街はコトの重要さがテンで分かっちゃ無い

一流中の一流が競うチェスだけど

ユル・ブリンナーの欠けたショー

光陰失の如し

チロリアン、温泉町のチェスの打ち手は今年はバンコク

全てが変わり……もうそんじゃそこらのショーじゃないよ

でも、まあ、どこでもあまり変わりないな

アイスランド、フィリピン、ヘイスティンブに、ここバンコクでもな

 

［コーラス］

バンコクの一夜、世界はオイスター

バーは寺院、やっぱり真珠にゃ金かかる

金色の尼寺にゃ神様がいる

ついてりゃ神様、女だろ

天使がすり寄ってくる

 

［フレディ］

どの街もみんな同じだ

なんたってCHESSは、駒を睨みっぱなしだからなあ

 

［コーラス］

CHESSは麻薬、それは退屈、残念な事

街は眺めず、CHESSボードを見つめたっきりさ

 

［フレディ］

どういう意味？人混み、汚れ、だけど臭い街だな

 

［コーラス］

茶と女……とても甘くて暖かい

サマーを舞台にサマセット・モーム･スイートで

 

［フレディ］

ヘエ！タイでフィーバーしようぜ！！お硬い旅行者さんよ

何を話しているだって？

俺は上半身でフィーバーするのさ

 

［コーラス］

バンコクで一夜を過ごせば、こわい男もおとなしくなる

絶望と歓喜の間には、そんな遠くない

バンコクの一夜はタフな男も転ばせる

連れの心配したくはないが

悪魔が忍び寄ってくる

 

［フレディ］

シャムが最終頭悩テストの

証人だ

古い泥川、傾く仏像よりゃマシだぜ

合点がいくね

俺はただの傍観者さ、有りがたいね、なんたって全ては俺の支配下にあるのだから

俺の練りに練った王手詰め

お宅達はうわの空

どうぞ御観覧あれ　御招待するぜ

悪いが俺達のクイーンには色気は必要ないぜ

色気がお好みなら、馴染みのバーやお寺、マッサージ屋に戻ったほうがいいな

 

［コーラス］

バンコクの一夜、世界はオイスター

バーは寺院、やっぱり真珠にゃ金かかる

金色の尼寺にゃ神様がいる

ちょっぴり官能的、ちょっぴり歴史的

天使がすり寄ってくる

バンコクで一夜を過ごせば、こわい男もおとなしくなる

絶望と歓喜の間には、そんな遠くない

バンコクの一夜はタフな男も転ばせる

連れの心配したかないが

悪魔が忍び寄ってくる

（意訳：筆者）

＊下の画像はABBAのビヨルン、ベニー、フリーダがコーラスに入っている。歌うのは初演時フレディ役、マレイ・ヘッド。

＊世界の『CHESS』ファンの中には「『ワン・ナイト・イン・バンコク』マニア」が多数おり、この曲を聴くためだけに世界の『CHESS』の追っかけもいる。尚、この曲が流れてきたら「手拍子」するのが習い。過去2回の梅田芸術劇場『CHESS IN CONCERT』では、フレディが会場を駆け巡って登場した。今回は如何に！？

 

3. One More Opponent

今年もアメリカ・グローバルテレビジョンの独占放送になった『ワールド・CHESS・チャンピョンシップ』大会。だが今年の司会者は、な、なんと昨年までのCHESS世界チャンピョン、フレディだった。フレディは調子よく、視聴者に話しかける。

 

4. You And I （ユー・アンド・アイ）

ウォルターとフレディは、これから始まる選手権のテレビ放送の確認をしている。アナトリーは、かつてのライバルのフレディが来ているために落ち着かないとフローレンスに告げる。フローレンスは、フレディがここバンコクに来ているのはお金の為であって、自分たちの人生を邪魔するためではないとアナトリーを安心させる。Click here　　　Click here

 

 

［フローレンス］

あまりにもありふれたシーン

 

［アナトリー］

いつも間にか二人にやってきた人生

 

［デュエット］

可能な限り、本来そうであるように二人の愛は強い

 

［アナトリー］

ほかのものには替えられなかった

 

［フローレンス］

でも、すべてが変わってしまった

 

［アナトリー］

邪魔する者は誰もいない

 

［デュエット］

私はあなたのことを愛している

これからもきっと

一日一日を乗り切っていけるはず

間違いなんて起こるわけない

今後もずっと二人で作り上げていくんだから

 

［アナトリー］

そうさ、元に戻ることなんてない

ゆっくりとゆっくりと、これから起こることから乗り越えていけばいいんだ

 

［フローレンス］

二人のこの心地よい居場所の為ならどんな犠牲も払っても構わないわ

でもあまり思い上がったりしちゃだめね

 

［デュエット］

真実がどこにあるのかなんてわからない

嘘だってきっとあるのだから

 

［フローレンス］

私達はこの道をずっと一緒に歩んできた

これからも、今までと同じように進んでいくわ

 

［アナトリー］

あなた……

 

［フローレンス］

あなた……

 

［デュエット］

そして私、

今まで、心が求めるままにやってきた

これからもこの愛は続き、きっとうまくいくはず

（意訳：筆者）

 

5. The Soviet Machine

ソビエト陣営のリーダーは今年もKGBのモロコフだ。彼はソ連の新しいCHESSチャンピョン、通称〝CHESSマシーン〟ことビガードを連れて来る。このビガードと言う男は、は寝て、食べて、風呂・トイレに行く以外は全部の時間をCHESSにあててきた。感情と言うものは彼にはない。

他方、モロコフは誰かに電話している。何やら「陰謀」の気配が……

 

6. The Interview

アメリカのグローバル・テレビジョンのプロデューサー、ウォルターは、今年のテレビ司会者フレディと打ち合わせをしている。どうやら新チャンピョン、アナトリーへのインタビューの打ち合わせらしい。

そこにアナトリーがやってくる。そしてフレディはアナトリーに様々な質問をぶつける。この模様は世界に放映されている。フレディVSアナトリー。昨年はCHESSの世界チャンピョンを競ったが、今年は……。フレディは昨年、メラノで自分がメディアから受けた仕打ちを今度はアナトリーにぶつけている。しかもCHESSとは関係ない話題ばかり持ち出してくる。そしてあろうことかアナトリーの妻スヴェトラーナがここバンコクに来ることをアナトリーにぶつけ、ビデオを観せる。アナトリーは動揺する。とうとう堪忍袋の緒が切れたアナトリーはその場を去る。

喜んでいるのはグローバル・テレビジョンのウォルターとフレディだけ。だがこの二人。〝喜びの意味〟は全く同じではない。ウォルターはただただ視聴率を挙げたい為だけ。フレディはフローレンスを取り戻す為。果たして今後の展開は如何に！？

7. Someone Else’s Story（別の誰かのストーリー／サムワン・エルシズ・ストーリー）

バンコクに着いたアナトリーの妻スヴェトラーナは、一人ぼっちでバンコクのホテル内で悲しんでいる。彼女は妻としてただずっと思い悩んでいるだけではない。彼女は、アナトリーとのごたごたの後には明るい未来がきっとあると信じているが……　Click here

 

 

［スヴェトラーナ］

ずっと昔

誰か別の人に起こったこと

私と同じ名前で私にそっくりの誰かが

ある男性と知り合って将来を誓い合った

でも彼は本音で誓ったわけではないわ

だけど彼女は彼の言葉を信じた

彼女の気持ちは今でも昔と同じだけど……

しかし、かつての彼との約束は破られようとしている

それが宿命だとしたら……

もし私が去ったら彼は寂しく思ってくれるかしら？

これは別の誰かのストーリー

私はこのストーリーの中にはいるのかな？

そういえば、昨日、かわいい女の子が

不吉な前兆を感じたと言っていたわ

悲しいことに、自分が彼の元を立ち去ることに決めたと……

そしてもっと悲しいことに、彼はそのことにすぐに気がついてくれなかったと……

彼は鈍感ね……言い残すことは何もないけれど

やはり、私が立ち去らなければあの人はコトの重大さをわかってくれないのかしら？

あなたのことを鈍い人と言ってしまえばいいのだけど

今もこれまでも

私自身で選ぶことはできないのよ

私は誰か別の人のストーリーの中にいるのね

別の人の人生に

そしてあの人は私の人生にいないんだわ

寂しく思う理由はないのね

いつかはこうなるはずだったのかしら

あの少女からどう思うかと聞かれたら

ハッキリこう言おう

今すぐその場を去りなさい！とね

無料でアドバイスするわよ

でもその少女は多分、私

そのストーリーは私、そう、その少女も私……

（意訳：筆者）

 

＜続く＞