『マンマ・ミーア!』がタルサPACに帰ってきた――期待通りのエネルギーと華やかさに満ちた舞台
*ミュージカル『マンマ・ミーア!』より「ダズ・ユア・マザー・ノウ」のシーン。ペッパー役のドミニク・ヤングとターニャ役のジャリン・スティールが出演。
写真提供:Joan Marcus
タイトル曲の歌詞のとおり、「Here We Go Again(さあ、また始まる)」。ABBAの楽曲で構成されたミュージカル『マンマ・ミーア!』が、Celebrity Attractionsの提供により、タルサPAC(※)の舞台に帰ってきた。
『マンマ・ミーア!』は1999年の初演時、ジュークボックス・ミュージカルの常識を覆した作品だった。単なるレビュー形式やアーティストのキャリアをなぞる構成ではなく、ベニー・アンダーソンとビヨルン・ウルヴァースというABBAのソングライターによる数十曲を骨格として、オリジナルの物語を組み立てたのである。
もっとも、「完全にオリジナル」とは言い難いかもしれない。この作品が当初からヒットしている理由のひとつは、実質的には「実写版のカートゥーン(漫画)」のようなものであり、そこに極めて完成度の高いポップソングが随所にちりばめられている点にある。
4月7日(火)にタルサPACで開幕した今回の公演は、その魅力をしっかり理解している。初日公演は、期待通りのエネルギーと華やかさに満ち、舞台上のほぼ全員が客席に向けて楽しげに演じていた。
*ジュリエット・M・オヘダ(中央、ソフィ・シェリダン役)と『マンマ・ミーア!』カンパニー。
写真提供:Joan Marcus
多くのカートゥーン作品と同様に、物語は比較的シンプルだ。ギリシャの島でシングルマザーのドナ(ジェシカ・クラウチ)に育てられたソフィ(ジュリエット・M・オヘダ)は、恋人スカイ(グラン・レイノルズ)との結婚式で、父親とともにバージンロードを歩くという伝統を実現したいと願っている。
しかし問題は、約20年前のひと夏の恋愛関係のために、ドナ自身もソフィの父親が誰なのか分からないことだ。ソフィは母の当時の日記から、父親の候補が3人いることを知る。それは、イギリス人銀行家のハリー・ブライト(ブレイク・プライス)、世界を旅する作家ビル・オースティン(リーランド・バーネット)、そしてアメリカ人建築家サム・カーマイケル(ヴィクター・ウォレス)である。
ソフィは、自分の父親を見分けられることを期待して、この3人を結婚式に招待する。しかし、物事はそう簡単には進まない。
混乱に拍車をかけるのが、ドナの友人たちである。独身主義を貫くロージー(カーリー・サコローヴ)と、結婚歴豊富なターニャ(ジャリン・スティール)は、かつて同じボーカルグループに所属しており、そのレパートリーにはABBAの楽曲が含まれている。
これまでも述べてきたように、『マンマ・ミーア!』のようなミュージカルは、特定のアーティストのファンにとってお気に入りの楽曲をライブで聴ける場として存在している。歌詞は物語に合わせて多少変更されているものの、キャストと見事な6人編成のバンドは、「マンマ・ミーア」「スーパー・トゥルーパー」「マネー、マネー、マネー」「ヴーレ・ヴー」「ダンシング・クイーン」などの楽曲をエネルギッシュに輝かせて披露している。
いくつかの楽曲は、やや意外な形で使われている。例えば「ダズ・ユア・マザー・ノウ」は、経験豊かなターニャが若くてやや暴走気味の青年(ドミニク・ヤング)をたしなめる場面で使われ、「チキチータ」は本来しっとりとした楽曲だが、落ち込むドナを元気づけようとするターニャとロージーのコミカルなシーンに当てられている。また「レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー」では、ウェットスーツとフィンを着けた男性たちがハイキックを披露するというユニークな演出で締めくくられる。
ソフィ役のオヘダは、力強い歌声と若々しく真摯な魅力を兼ね備えた際立った存在だ。サコローヴとスティールは本作のコメディ要員として輝きを放ち、笑いを取るためなら大胆な表現もいとわない。
*カーリー・サコローヴ(ロージー役)、ジュリエット・M・オヘダ(ソフィ役)、グラント・レイノルズ(スカイ役)、ジャリン・スティール(ターニャ役)。
写真提供:Joan Marcus
クラウチは「大人の存在」としてのドナ役を好演し、「ザ・ウィナー」では、気まぐれに見えるサムに対して感情をぶつけ、苦味のある表現を見せている。ただし彼女とウォレスの間には、最終的な和解を十分に納得させるほどの強い化学反応がやや欠けているようにも感じられる。
『マンマ・ミーア!』は4月12日(日)まで、タルサPAC(イースト・サード通り101番地)にて上演中。チケットは918-596-7111へ電話、またはtulsapac.comで購入可能。
※タルサPACとは
タルサ・パフォーミング・アーツ・センター(Tulsa PAC)は、アメリカ・オクラホマ州タルサにある大規模な舞台芸術施設です。
■ 基本情報
- 所在地:タルサ
- 開館:1977年
- 種別:総合舞台芸術センター
- 施設構成:複数の劇場・ホールを併設
■ 特徴
- 建物内には複数の劇場があり、代表的なものとして
👉 チャップマン・ミュージック・ホール(最大規模)
👉 スタジオシアター
👉 小劇場
などが含まれます。 - 上演ジャンルも幅広く、
🎭 ブロードウェイ・ツアー公演
🎶 コンサート
💃 ダンス・バレエ
🎤 地元公演・イベント
など、多様な舞台芸術が楽しめます。
■ 『マンマ・ミーア!』との関係
今回の記事のように、
👉 ブロードウェイ作品の全米ツアー
👉 ABBA関連ミュージカル
が上演される主要会場のひとつです。
■ 一言でいうと
👉 「タルサの文化の中心となる、本格的な複合型劇場施設」
ブロードウェイ作品の地方公演が行なわれる重要な拠点として、多くの観客に親しまれています。
‘Mamma Mia!’ is back at Tulsa PAC and as full of energy and sass as one could hope





