知名度こそ控えめながら絶景の海岸を誇るギリシャの島から、クロアチアの宝石のような島、そして英国の身近な場所まで。映画『マンマ・ミーア!』の撮影に使われたロケ地をご紹介します。
「オン・ロケーション」は、お気に入りの映画やテレビ番組などの舞台裏をひもとくシリーズです。今回は、「『マンマ・ミーア!』はどこで撮影されたのか?」を探ります。
映画『マンマ・ミーア!』が世界中の映画館で公開されてから、まもなく20年になります。キャサリン・ジョンソンによる1999年初演の英国ミュージカルを映画化したこの作品は、史上最も多くの売り上げを記録した音楽グループの一つ、ABBAの音楽に乗せて、幾つもの恋物語が繰り広げられる架空のギリシャの島へ、何百万人もの観客をいざないました。
*続編の公開後、一躍脚光を浴びたクロアチアの島。
クロアチア・ヴィス島のコミジャ。写真:アラミー。
メリル・ストリープ、コリン・ファース、ピアース・ブロスナン、アマンダ・セイフライド、ジュリー・ウォルターズら、豪華な顔ぶれが出演。映画が大きな喜びとともに迎えられたことから、2018年には続編『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』が公開されました。
続編であると同時に前日譚でもあるこの作品では、セイフライドが演じるソフィ・シェリダンが、ホテル・ベラ・ドナの華々しい開業に向けて準備を進めます。その一方で、母親の過去が回想場面として描かれ、リリー・ジェームズ、ジェレミー・アーヴァイン、ジョン・ディランらが登場します。
もちろん、出演者たちはそれぞれ魅力的な演技を披露し、両作品は熱狂的に愛される映画となりました。2026年現在、第3作の制作についても話題になっています。しかし、この映画の本当の主役は何でしょうか? それは撮影場所です。
では、『マンマ・ミーア!』はどこで撮影されたのでしょう。1作目も2作目も、物語の舞台は架空のギリシャの島、カロカイリ島ですが、実際の撮影は、それぞれ異なる、しかし同じくらいまばゆい魅力を持つヨーロッパの島で行なわれました。
*『マンマ・ミーア!』のドナ(メリル・ストリープ)。写真:アラミー。
ここでは舞台裏に目を向け、次の夏のヨーロッパ旅行で訪れることができる『マンマ・ミーア!』のロケ地をご紹介します。
『マンマ・ミーア!』はどこで撮影された?
2008年に公開されたミュージカル映画で最も成功し、英国では発売当時、最速の販売記録を打ち立てたDVDにもなったこの作品は、私たちを架空のギリシャの島、カロカイリ島へと連れていきました。
*ソフィ(アマンダ・セイフライド)と婚約者のスカイ(ドミニク・クーパー)。写真:アラミー。
この島の美しい海岸で、ドナ(ストリープ)と娘のソフィ(セイフライド)は暮らしを築いてきました。しかし、結婚式を間近に控えたソフィは、母親に知らせず、自分の父親かもしれない3人の男性を招待します。それがきっかけとなり、ヒット曲に彩られた、見事なまでに大混乱の出来事が次々と巻き起こります。
第1作の撮影は、2007年の夏、ギリシャのスコペロス島で行なわれました。ギリシャ神話や伝説によれば、この島を築いたのは、ディオニュソス神とクレタ島の王女アリアドネの息子、スタフィロスです。スコペロス島はエーゲ海に浮かび、スキアトス島とアロニソス島の間に美しくたたずんでいます。
*カスタニ・ビーチ。写真:ゲッティイメージズ。
主要なロケ地の一つが、カスタニ・ビーチです。美しい白砂が広がるこの海岸は、ハリウッドの撮影隊が訪れて以来、多くのギリシャ好きにとって「一度は訪れたい場所」になりました。
映画を代表する二つの場面が、ここで撮影されています。一つは、ソフィと婚約者のスカイ(ドミニク・クーパー)が「レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー」を歌いながら波打ち際で戯れる場面。もう一つは、ターニャ(クリスティーン・バランスキー)が「ダズ・ユア・マザー・ノウ」で、堂々と小気味よく相手をあしらう場面です。
*スコペロス島のグリステリ・ビーチ。写真:ゲッティイメージズ。
ドナ(メリル・ストリープ)が経営するホテル、ヴィラ・ドナの場面は、英国のパインウッド・スタジオで撮影されました。しかし、画面に映る眺望は、島の東海岸にあるグリステリのものです。
ここはまた、「アワ・ラスト・サマー」に合わせて、ソフィと父親候補の3人が岩場から海へ飛び込む崖のある場所でもあります。その後、ソフィがロバに乗って結婚式へ向かう場面にも登場します。
*アギオス・イオアニス礼拝堂。写真:ゲッティイメージズ。
しかし、ひときわ注目を集めるのは、驚くほど美しいアギオス・イオアニス礼拝堂かもしれません。結婚式の会場となるこの礼拝堂は、島北部の町グロッサに近い、高さ100メートルの岩山の頂上にあります。
ただし、すべてが画面で見たとおりというわけではありません。外観、雄大な景色、階段は映画に登場するそのままの姿ですが、実際の礼拝堂に入れるのは10人ほど。そのため、内部はスコペロス港のそばにある別の教会、パナイツァ・トゥ・ピルグを模して、パインウッド・スタジオに造られました。
宿泊するなら: アドリナ・リゾート&スパは、スコペロス島でも指折りの美しいリゾートです。海を広く見渡せるバルコニーでくつろぎ、スパの施術を受けたり、きらめくエーゲ海へのボート旅行を楽しんだり、さまざまなレストランで食事を堪能したりできます。
*『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』
『マンマ・ミーア!』の2作目はどこで撮影された?
2作目の正式なタイトルは『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』。この作品も、架空のカロカイリ島の海岸を舞台にしています。しかし、実際の制作では、出演者とスタッフは、クロアチアの美しい島、ヴィス島へと向かいました。
ピアース・ブロスナンやコリン・ファースらに、リリー・ジェームズをはじめとする新たな出演者が加わり、起伏に富んだ、手つかずの自然が残るこの島を訪れました。本土からの所要時間は、双胴型の高速船で1時間余り、フェリーで2時間以上です。
*ヴィス港。写真:ゲッティイメージズ。
この島はかつてユーゴスラビア軍の基地として使われ、長らく大きな開発の影響を受けずにきました。少なくとも、ハリウッドの撮影隊が到着するまではそうでした。撮影隊は6週間にわたる撮影のため、島を大々的に使用しました。
撮影の中心となったのは、西部の村コミジャです。特に小さなバリョシュカ湾では、岩の多い海岸まで撮影機材やスタッフを運べるよう、新しい道路が造られました。
また、南海岸にある島で最も有名な名所、スティニヴァ・ビーチも登場します。白い小石の浜と、海へと開ける切り立った崖の印象的な景観が特徴です。
ほかにも、若きドナが若きサム(ジェレミー・アーヴァイン)と月明かりの下を散策する場面では、スレブルナ湾が登場します。
そして、小さなプリロヴォ半島に建つ16世紀の聖イェロニム教会が印象的に映るのは、若きビル(ジョシュ・ディラン)とドナが、漁師のアレクシオを、恋人アポロニアとの結婚式に間に合うよう手助けする場面です。
*クロアチア・ヴィス島のスティニヴァ湾。写真:アイストック。
ヴィス港は、カロカイリ島行きの船に乗り遅れたドナが、初めてビルと出会う場面に使われました。
また、現代の場面で、ビル(ステラン・スカルスガルド)とハリー(コリン・ファース)が同じように船に乗れなくなる場面も、ここで撮影されています。オミッド・ジャリリが演じる税関職員は、ほとんど助けになりません。
島内の宿泊施設が限られていたため、出演者たちはヨットか、東海岸にある島の中心集落、ヴィスの町のヴィラに滞在しました。
アマンダ・セイフライドは、かつて戦時中に島のレジスタンス戦士たちの本部として使われた、17世紀の石造りの邸宅、パラチャ・ヤクシャに滞在したと伝えられています。一方、このシリーズに新たに加わったアンディ・ガルシアは、豪華な3階建ての邸宅、ヴィラ・セレーナに滞在しました。
*オックスフォード大学ニュー・カレッジの大広間。写真:アラミー。
『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』は、クロアチアのヴィス島に加え、英国でも一部の撮影を行ないました。
ホテル・ベラ・ドナはシェパートン・スタジオに造られました。また、オックスフォード大学ニュー・カレッジの大広間では、若き3人組が序盤に披露する「ホエン・アイ・キッスト・ザ・ティーチャー」の場面が撮影されました。
宿泊するなら: 『マンマ・ミーア!』の2作目が公開されてから、ヴィス島の人気は高まりましたが、ホテルに比べて貸別荘が多くあります。
その中で、ホテル・サン・ジョルジョは洗練された雰囲気と優れた立地を備え、現在も家族経営を続けています。また、マーシャル・ホテル・ヘリテージでは、海に面した客室とアパートメントタイプの宿泊施設を選べます。
※原文冒頭の「ジョン・ディラン」は、後段に登場する「ジョシュ・ディラン」の誤記と思われます。













