9月27日から始まった梅田芸術劇場主催のミュージカル『CHESS』。驚くことばかりだったが、最初に驚いたのが『昭和天皇の玉音放送』を流したことだ。
欧州の戦争と、太平洋戦争は、ほぼ同時に始まっただけで「第二次世界大戦」とされているが、アジアの戦争と、ヨーロッパの戦争では目的も戦い方も違う。
『CHESS』は欧州発のミュージカルだ。ティム・ライスも、ベニーも、とりわけ〝リベラル派〟で有名なビヨルンも、果たして『昭和天皇の玉音放送』をエンターテインメントに入れ込むことを「良し」とするだろうか?荻田という監督の頭の構造を疑った。
米ソ冷戦が終わり、今では世界で上演されている『CHESS』は、よりエンターテインメント色を強めている。それに比して、荻田氏の演出には真逆を行っている。荻田と言う「個人のイデオロギー」を、30年も続いている『CHESS』に入れることは、観客はもちろんのこと、演じている俳優陣も〝同罪〟と思われても仕方なくなってしまう。CASTが可愛そうだ。
世界で演じられている『CHESS』のビデオは、ティム・ライス事務所から梅田芸術劇場にも来ている。結局は観ていないか、観ていても無視し「個人色の強い『CHESS』」を作りたくてしかたないのだ。
今後は梅田芸術劇場主催の『CHESS』は日本公演とせず、「梅田芸術ヴァージョン」とさせていただきたい。残念だ。。。