ポールスター誌2026年5月号のカバーストーリーにおいて、KISSのリーダーであるポール・スタンレーとジーン・シモンズが、アバターを活用した新たなKISSショーについて語った。このショーは2028年にラスベガスでの開幕が予定されている。
まだ名称未定のこのKISS体験は、スウェーデンの音楽投資会社であり、ABBAのビヨルン・ウルヴァースが共同設立したポップハウス・エンターテインメントにとって、アメリカ市場への本格参入となる最初の大型プロジェクトとなる。
ポップハウスとKISSの契約
2014年に設立されたポップハウスは、2025年3月に初のファンド「ポップハウス・ファンドI」をクローズし、音楽カタログや知的財産への投資のために13億ドル以上を調達した。
KISSとの契約は3億ドル以上と報じられており、同社はKISSの楽曲カタログ、名称、肖像権(象徴的なフェイスペイントも含む)、さらに原盤権および出版権におけるアーティスト持分を取得している。
ショーの内容と楽曲
ポールスター誌の記者キャサリン・ターマンから、どの時代のKISSがアバターショーに登場するのかと問われたジーン・シモンズは次のように語った。
「象徴的なフェイスキャラクターになる。ザ・デーモンやザ・スターチャイルドなどだ。どのメンバー構成にするかは、観る人次第だ」。
楽曲についてポール・スタンレーは、
「これまでの名曲はすべて入るし、サプライズもある」
と述べ、ジーンはさらに、
「それに加えて新曲も聴ける」
と付け加えた。
「新曲」とは何かという問いに対し、ジーンは
「つまり、私たちが書いた新しい楽曲だ。すでに完成している」
と説明した。
ABBA Voyageとの違い
ロンドン専用劇場で1970年代のABBAコンサートを再現した「ABBAヴォヤージ」とは異なり、2023年12月2日にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで披露されたKISSのアバターは、より現実離れした存在として描かれている。
BBCニュースによると、そのアバターは身長約8フィート(約2.4メートル)のスーパーヒーローのような存在で、火を吹き、指先から電気を放ち、観客の上空を浮遊するという演出だった。
ショーの進化とコンセプト
ポップハウスCEOのジェシカ・コラヴォスは次のように語っている。
「MSGで観客が目にしたものは、KISSアバターの初期プロトタイプにすぎません。それ以降、クリエイティブ面でも技術面でも大きく進化しています」。
現在は、演出家ティエリー・クープ率いるトップレベルのチームとともに開発が進められており、最新世代のLEDスクリーンと火炎演出を組み合わせ、KISS特有の炎の演出を最大限に引き出すテストが行なわれている。
「ショーは、ヒット曲、コミック的な世界観、そしてKISSのキャラクターを巡る“4Dジェットコースター”のような体験になります」。
世界初の完全バーチャルバンドへ
KISSは、完全にバーチャル化して独自のアバターショーを展開する最初のアメリカのバンドになると見られている。
ジーン・シモンズは2023年12月の時点で、このプロジェクトに「約2億ドル」が投資されていると語っていた。
メンバーの期待
2026年3月、ポール・スタンレーはインタビューで次のように語っている。
「このラスベガスのアバターショーは、間違いなく人々の度肝を抜く。いわゆるホログラムや実験的で安っぽいものとは違う。これは“我々そのもの”だ。とてもリアルで、人々を圧倒するだろう」。
さらに彼はこう付け加えた。
「他のロックバンドと同じ枠に収まる理由はない。彼らはそれしかできないからそうしている。でも我々は違う。KISSだからだ」。
Sphereとの比較
別のインタビューでジーン・シモンズはこう語った。
「Sphere(ラスベガスの巨大会場)よりも何倍も刺激的なものになる。Sphereも素晴らしいが、我々のショーはそれを霞ませるほどの衝撃になる」。
さらに、
「ドラゴンが飛んできて火を吹けば、観客はその熱を感じる。炎や硫黄の匂いも感じられる。視覚だけでなく五感すべてを刺激する」
と説明した。
また、このショーはラスベガスだけでなく、世界中で展開される予定だという。
Sphereに対する見解
2023年のイベント「KISSクルーズ:ランドロックド・イン・ベガス」で、ポール・スタンレーはSphereでの公演に対して懐疑的な姿勢を示した。
「Sphereでは映像が主役になりすぎて、バンドの存在が小さくなってしまう。観客はスクリーンばかりを見るようになる。それではKISSらしくない」。
会場について
2025年のビルボードのインタビューで、当時のポップハウスCEOペール・スンディンは、KISSのショーがSphereで行なわれるかについて次のように答えた。
「いいえ。Sphereは素晴らしい施設ですが、我々のアバターショーには別のタイプの会場が必要です。もっと没入感のある空間を考えています」。
専用会場の必要性
ポール・スタンレーは2024年のインタビューでこう説明している。
「この技術はABBAショーの延長にあるもので、専用設備が必要です。つまり、専用の建物を建てる必要がある。ツアーのように機材を運んで各地で公演するタイプではありません」。



