ミルウォーキー発――「ハニー、ハニー」、本音を隠さずに言おう。『マンマ・ミーア!』の全米ツアーは、見逃せない「スーパー・トゥルーパー」級の舞台だ。
*『マンマ・ミーア!』のソフィ・シェリダン役、ジュリエット・M・オヘダと出演者たち。(撮影:ジョーン・マーカス)
記念公演の配役を担当したTRCカンパニーの仕事は、ほとんど完璧と言っていい。
*『マンマ・ミーア!』に出演するリサ役のレナ・オーウェンズ、ソフィ・シェリダン役のジュリエット・M・オヘダ、アリ役のマディー・ガーバティ。(撮影:ジョーン・マーカス)
冒頭に登場するジュリエット・M・オヘダ(ソフィ・シェリダン役)は、たちまち私の心をつかんだ。彼女の小さな島へと引き込まれ、ソフィが抱く一つひとつの感情が伝わってくる。希望に満ち、愛らしく、活気のある演技は実に魅力的だ。官能的な「レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー」から、エネルギッシュな「ハニー、ハニー」、心を引きつける「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」まで、感情表現も表情も、意図のはっきりした演技も歌声も美しい。非の打ちどころのないソフィだった。
*『マンマ・ミーア!』のドナ・シェリダン役、ジェシカ・クラウチと出演者たち。(撮影:ジョーン・マーカス)
ジェシカ・クラウチ(ドナ・シェリダン役)は、圧倒的な力を持つ俳優だ。どの曲でも、その歌声の美しさが際立つ。「スリッピング・スルー」での柔らかく感情豊かな歌唱から、「ザ・ウィナー」で劇場を揺るがすような力強い高音まで、全編を通して見事というほかない。
*『マンマ・ミーア!』に出演するターニャ役のジャリン・スティール、ロージー役のカーリー・サコローヴ、ドナ・シェリダン役のジェシカ・クラウチ。(撮影:ジョーン・マーカス)
ケイラ・ライアン・ウォルシュ(ロージー役)とクリスティーナ・ウォルツ(ターニャ役)は、私が生で観た俳優の中でも、とりわけ面白い2人かもしれない。『マンマ・ミーア!』の舞台で、これほどロージーとターニャを好きになったことはない。2人はまさに、この役を演じるために生まれてきたようだ。身ぶりを生かしたコメディーは抱腹絶倒で、歌唱もそれに負けない一級品だった。ロージー役のウォルシュは、人物像に豊かで複雑な面を加え、声を上げて笑う場面の合間にも、彼女をいっそう愛すべき存在にしていた。ターニャの代役を務めたウォルツにも、特別な賛辞を贈りたい。見事な笑いの間で、役になりきっていた。
*『マンマ・ミーア!』のスカイ役、グラント・レイノルズと出演者たち。(撮影:ジョーン・マーカス)
グラント・レイノルズ(スカイ役)は、ともすれば背景に埋もれがちな人物に命を吹き込んだ。オヘダとの息はぴったりで、その間には火花が散るような魅力がある。歌声も素晴らしく、澄み切っていた。ユーモアと優しさをうまく併せ持ち、ためらいながらも冒険を求める、恋する若者の複雑さと生命力を表現していた。
舞台には「ダンシング・クイーン」「ギミー! ギミー! ギミー!」「テイク・ア・チャンス」など、ファンに愛されるABBAのヒット曲が登場する。カーテンコールの後には、出演者全員によるミニコンサートが待っている。ネオンカラーのスパンデックス衣装、目を奪うダンスナンバー〔振付:アンソニー・ヴァン・ラースト〕、きらめき、喜び、そしてあふれんばかりのエネルギー。観に行くなら、カーテンコールで席を立たないでほしい。この「アンコール」を見逃す手はない。
『マンマ・ミーア!』には、笑い、活気、感動、喜びが詰まっている。物語も曲も覚えている人であれ、初めて作品に触れる人であれ、笑顔にならずに劇場を後にすることはできないだろう。

*『マンマ・ミーア!』に出演
※マーカス・パフォーミング・アーツ・センターとは?
マーカス・パフォーミング・アーツ・センターは、米国ウィスコンシン州ミルウォーキーの中心部にある舞台芸術施設です。ミュージカル、オペラ、バレエ、演劇などを上演する複数の劇場を備えています。先ほどの公演評に登場した『マンマ・ミーア!』は、施設内で最も大きいユーライン・ホール(Uihlein Hall)で上演されました。Marcus Performing Arts Center
建物の外観
*写真:Travel Wisconsin掲載。ガラス張りのロビーが外から見える、夜の建物です。 Travel Wisconsin
施設は1969年9月17日に開場しました。建物を設計したのは、米国の建築家ハリー・ウィーズです。歴史的な装飾を持つ劇場というより、直線的な形と広いガラス面を生かした、20世紀のモダンな建築が特徴です。Marcus Performing Arts Center
『マンマ・ミーア!』が上演されたユーライン・ホール
*写真:Marcus Performing Arts Center提供/Shepherd Express掲載。舞台側から見た客席です。 Shepherd Express
ユーライン・ホールは、最大2,125人を収容する施設最大の劇場です。大きな舞台を使うミュージカルやオペラ、ダンス公演などに対応しています。『マンマ・ミーア!』のミルウォーキー公演は、2026年9月22日から27日までここで行なわれました。Marcus Performing Arts Center
地元の芸術活動を支える施設
マーカス・センターには、ミルウォーキー・バレエ、フロレンタイン・オペラ、児童向けの舞台を手がけるファースト・ステージ、ブラック・アーツMKEの4団体が拠点を置いています。ブロードウェイ作品のツアーを迎えると同時に、地域の団体が舞台を届ける場でもあります。Marcus Performing Arts Center
所在地は929 N Water Street, Milwaukee, WI 53202です。公演案内や各劇場の情報は、マーカス・パフォーミング・アーツ・センター公式サイトで確認できます。Marcus Performing Arts Center
https://spectrumnews1.com/wi/milwaukee/news/2026/09/21/mamma-mia-national-tour-review-milwaukee









