これは、人が生涯にわたって付きまとわれる質問の一つだ。「初めて行ったライブは何だった?」――ちなみに私はウェンブリーでのスパイス・ガールズだった。ゴス(暗黒趣味)の時期にはその事実に身のすくむ思いをしたが、今では誇りに思っている。
若者にとって初めてのライブ音楽体験は決定的な瞬間であり、したがって同行する親にとっては重大な責任を伴う。私の娘はこれからの人生、初めて行ったライブは「ABBA Voyage」だったと人々に話し続けなければならないのだ。
バチェロレッテ・パーティー(結婚前の女性のパーティー)や女子会のイメージが強いかもしれないが、スウェーデンの4人組の1979年の全盛期を再現したバーチャルコンサート「ABBA Voyage」は、素晴らしい家族のお出かけスポットでもある。まず、会場がオリンピック・パーク内にあるため、DLR(ドックランズ・ライト・レイルウェイ)で行くことができる。子供はみんなDLRが大好きだ。運転士のいない、空を飛ぶ電車なのだから! 子供を持つ前は考えもしなかったことだが、一番前の席に座り、子供たちからDLRを「運転する」スリルを奪う大人はサイコパス(おそらくヘッドホンなしでSNSの音声を聴いている連中よりもタチが悪い)だと、今の私は確信している。
ABBAアリーナは超キッズフレンドリー
第二に、信じられないほど見事にオーガナイズ(管理)されている。報道によると1億7,500万ドルの費用を投じて専用設計されたABBAアリーナは、列の進みが早く、トイレの数も豊富で、スタッフも親切だ。スマートフォンは禁止されているため、子供たちは画面に邪魔されることなく体験できる。これはSNSの弊害を心配する親たちにとって安心材料だ。
アグネタ・フォルツコグ、ビヨルン・ウルヴァース、ベニー・アンダーソン、アンニ=フリード・リングスタッドのバーチャル版は驚異的だ。これらの「ABBAtar(アバタ―)」がパフォーマンスを行なうのを見るのは、1895年に映画館を訪れた人々が、電車の映像に轢かれるのではないかと恐怖した時の感覚に近いに違いない。娘の友達の言葉を借りれば、「本物みたいに見える!」――これ以上付け加える言葉はない。
70年代のノスタルジーは、私の連れであるジェネレーション・アルファ(α世代)の子供たちには少しピンとこなかったようだが、音楽は時代を超越しており、彼女たちを通路でくるくると踊らせていた。ABBAを嫌いになるのは基本的には不可能なことであり、それが小さな女の子であればなおさらだ。うちの娘は帰り道、ずっと「ダンシング・クイーン」を歌っていた。
というわけで、このレビューの締めくくりの言葉は彼女に譲ることにする。
「すごくカラフルで未来的だから、絶対に行ったほうがいいよ!」。



